沙流川の石材

沙流川に見られる主な岩石

堆積岩
砂岩
主として砂粒で構成される砕屑堆積岩を顕微鏡で見ると一つ一つの粒の角が取れ、水の作用でできた石英質、長石質の多い砂の集まりであることが良くわかる。砂の粒の大きさは2mm以下で細粒、緻密で堅固な岩石である。
泥岩
顕微鏡で砂岩と同じ倍率では見えないが倍率を高くすると砂岩と同じ作りをすることがわかります。
粘土が圧力と乾燥状態で固化したもので乾くと玉葱上にこわれます。軽質の軟岩で鉱物成分は貢岩、粘板岩と大きな差はありません。
貢岩
泥岩が地下で圧力により泥岩より堅く固まったもので粘板岩のように、うすく剥げないで厚い板状を示します。
粘板岩
泥岩が地下深部で圧力を受け貢岩より一掃堅く緻密になったもので粒の並び方の方向性がみられる。綿状の割れ目には圧力をうけた時々にできた石英が充填されている。
輝緑凝灰岩
海底火山で噴火した火山灰の小さなものが堆積してできたものでうすくみどりいろがかったもの、暗緑〜赤褐色のものがあり顕微鏡で見ると泥岩に似た構造をしています。ニセウ川より上流部に分布し、石灰石層に随伴し峡谷を作り起伏の多い山容を作っている岩石です。
珪板岩(チャート)
玉髄質 殆ど無水珪酸(石英分Sio2)からなる緻密、脂肪光沢のある岩石で割り口は角状、亜貝殻状、断口稜は鋭利で顕微鏡で見ると石英の集合体であることがよく分かる。風化しにくいので川原、海浜のレキの中に見られ非常に硬くガラスに傷をつける。赤ぽいもの、青ぽいもの、白ぽいものがあり大きなものは庭石として珍重され利用されています。
層灰岩
海底火山が噴出して火山細屑と粘土、泥のような水生岩屑とが混合し層状を示す堆積岩で一般に明瞭な層理を示すものを層火岩と云います。庭石、観賞石としてこれを青トラ石と称して採取の対称としています。火山灰の混入により粘土岩より軽く貢岩と凝灰岩の中間をなす層理のはっきりした岩石で沙流川では千栄地区、支流額平川では中流地区に見られます。
石灰岩
光沢のある灰色の岩石で石灰岩そのものを石灰石と呼ぶことが多い。鉱物学的には方解石からない炭酸カルシウムの化学組成をもち常に人類の文化の発達に欠くことの出来ない原料です。
沙流川流域にも数ヶ所に鉱床の露出している所があって日高町千栄、平取町岩知志の鉱床は昭和37年から44年迄採掘され製糖用、製紙用、道路用路盤材、鉄道々床バラスト等に利用されました。
写真は沙流川左岸に露出している鉱床を当時の採掘跡地です。
火成岩
輝緑岩
暗緑色の一見あらい砂岩に似ていますが、良く見ると結晶のあつまりであることがわかります。
マグマが海底噴火により海底につもっている泥や砂の中に急激に流れ込み、冷えたもので顕微鏡で見ると鉱物が小さく結晶しており円冊状の斜長石が多くそのまわりに輝石の粒が少し大き目の結晶の間をうめる半深成岩の特色を称し独特の輝緑岩構造を示しています。
花崗岩
日高山脈の中軸をなす深成岩で主成分は石英、長石、黒雲母で一見ゴマ塩状であります。石英はねずみ色、長石は白雲母は黒く、隣接する堆積岩に著しい接触変成をあたえております。深成岩中最大の岩体をなすもので地球上でもっとも分布面積の広い岩石です。
斑レイ岩
花崗岩と同じく深成岩の構造をもつが石英分(Sio2)が花崗岩よりも少なくその分有色の鉱物が多くなって全体として黒っぽく見えます。川原のレキの中で大きなまだらもようの見えるのはほとんどが斑レイ岩の仲間である。鉱物の種類とその含まれている量によって少し緑ぽいソシュル石斑レイ岩、まっ黒く見えるカンラン石斑レイ岩などの名前がつけられています。顕微鏡で見ると一つ一つの鉱物がすべて完全に結晶しており形も大きくはっきりと見えマグマがゆっくりと冷えそのために長い時間をかけて結晶が成長した深成岩の特徴が良く現れています。
カンラン岩
オリーブ色を帯びたカンラン石を主成分とし輝石を伴う超塩基性の深成岩で沙流川の上流部岩内岳に分布しております。
岩内岳は遠望すると饅頭形の山容を呈し岩体は岩内岳の南面に高い崩落状呈して露出しています。
風化を受けていないダン岩はデュナイトとも云われ溶融点1,910℃と高く耐火度32番、耐塩基性、低熱膨張性の特徴があり、100メッシュ前後の砂上にしたものをオリビンサンドと呼び高マンガン鋼等の焼きつきやすい溶湯の鋳造に適しています。
昭和40年頃に開発され現在も採掘が行われています。
変成岩
ホルンフェス
マグマが地層を貫いて入ってきたとき堆積岩がその熱により変成したもので、わりあい浅い部分の熱変成によりできたものです。従って貫入してきた火成岩のまわりにしか分布していない岩石です。見かけは粘板岩と同じだが割ると赤ぽいアズキ色をしており、顕微鏡で見ると元の岩石の構造をそのまま残しているが良く見ると粒の間に粘板岩にはない黒雲母がみられる。写真は菫青石ホルンフェス(観賞石名、菊花石)で3個の結晶が60毎に結晶し6角柱を作る事によってできており母岩は石英、長石、褐色雲母からなる粒上組織でどうして粘板岩との接触作用により粘板岩が溶融することなくこのような美しい結晶ができてるのかそのメカニズムはわかっておりません。
ミグマタイト
地向斜からはじまる造山運動のなかで地下深いところで高い熱と強い圧力で溶融した。堆積されていた砂岩や泥岩を構成している鉱物がすっかり変化して別の鉱物に変わったり結晶の並が変わった岩石でほとんど花崗岩のように見えていくぶん褐色がかかっています。顕微鏡で見ると深成岩の特色をそのまま示しており区別がつかないほどです。このように高い熱と強い圧力で溶融し、それが徐々に冷えたので深成岩と同じ構造をもつようになることをミグマタイト化作用と云います。
片麻岩
地下深部で高い圧力のため構成している鉱物結晶が一定の間に並んだ変成岩を特に片麻岩といいます。結晶が一定方向に並ぶためこの並びの方向に割れやすい特徴をもちそのため扁平なレキが多く見られます。角閃石結晶はキラキラと光って美しく顕微鏡で見ても角閃石の結晶が一定方向を向いて並んでいる構造が良く見てわかります。幌尻岳を作っている岩石で日高山脈の中心をなす岩石です。
蛇紋岩
日高山脈が東からの圧力をうけながら隆起し、西に傾き褶曲しながらもち上がる際に大きな断層が出来その断層の層理に添って噴き上げてきたカンラン岩が地下の熱水により変質され蛇紋岩となりました。黄緑色に風化したものが川原に見られ、又沙流川の中流地域には青い粘土を伴って露頭が各所に見られます。顕微鏡で見ると四角いカンラン石の結晶と綱状の組織が見られ、手持つと指に脂感を与えます。蛇紋岩にはクローム鉄、ニッケル、石綿等の鉱床の成因に密接な関係があり鉱物学上重要な指針を与えています。又非常に美しい緑色の綱状組織をもつ硬質緻密なmのを貴蛇紋石と呼び細工物、装飾石材として使用されるものも沙流川で見ることができます。
特にクローム鉄鉱は平取町振内より上流、日高町千栄迄の間に昭和4年頃から37年迄10数鉱山が開発され我国のクローム鉄鉱の80%を採掘した実績があります。

資料:「沙流川の石材」 1987.5 栂尾重雄氏著より